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バージョンアップ
福永さんのフィッシュクラフトは、出来上がる作品毎にそのクオリティが上がっているのが、
素人目にもわかります。

フックした魚の生命感をロッドを通して感じるように、渓魚のもつ雰囲気が、
視界をとおして伝わってきます。

半立体のクラフトで渓魚を表現されるので、“奥行き具合”もポイントの様に思います。

あまり奥行きのあるものにすると立体になり、はたまた奥行きがないと、
単なるレリーフになってしまったり。

そんな事を、福永さんが考えているかどうかは定かではありませんが
作品の厚みが以前より増しているのは事実で、作品を収める額も
以前より厚いものが必要となって来ました。

そこで今回、私が作らして貰う額も、バージョンアップをして奥行きのある作品に対応しました。
バージョンアップ_f0053342_1172911.jpg




奥行き(厚み)のある作品を納める額というのは、一般的にはあまりニーズがなりらしく、
ネットでその作り方を検索しても、ほとんど紹介されていません。

以下は、自分の額の作り方です。
次回作る時のメモとして記しました。

1.材料
バージョンアップ_f0053342_21253783.jpg

 材料はSPF材を使っています。
 安価で加工がしやすく、木目や節もフィッシュクラフトにけっこ似合うと思っています。
 以前は、1×2材で作っていましたが、これでは厚さが足りず、
 バージョンアップ版では1×3材を使います。

2.飾り縁の加工
バージョンアップ_f0053342_21275975.jpgバージョンアップ_f0053342_21281780.jpg

 ルーターで額の全面・内側にくる角に飾り加工をします。
 最初にこの加工をやっておくことで、作業効率が上がります。
 ルーターは高速でビットを回転させて材を削り取る機械ですので、
 怪我をしないよう細心の注意を払っての作業となります。

3.切り出し
バージョンアップ_f0053342_2131384.jpgバージョンアップ_f0053342_21312088.jpg

 1×3材をそのまま使うと、今度は額が厚くなりすぎますので、
 これを適当な幅に丸鋸で切り出します。
 大きなテーブルソーかワークベンチが欲しいところですが、
 私の場合、そのような道具がないので、丸鋸台にガイドをセットして行います。

4.内側のくり貫き
バージョンアップ_f0053342_21323881.jpgバージョンアップ_f0053342_21325544.jpgバージョンアップ_f0053342_21331392.jpg

 厚みのある作品の額には、全面から見ると、
 飾り縁(外枠)、ガラス(アクリル)、作品(のクリアランス)、作品のバックボードが収まります。
 そのスペースを確保するために、材の内側をくり貫きます。

 先ず、深さのサイズに従って、丸鋸で切り込みを入れます。
 次ぎに、アクリル・バックボード゙を収める幅のサイズに従って、丸鋸で切り込みを入れ
 内側をくり貫きます。

 くり抜かれた材は、アクリルとバックボードの間を埋める、桟(さん)の材として使います。

5.裁断
バージョンアップ_f0053342_2136799.jpgバージョンアップ_f0053342_21362361.jpg

 作品のバックボードとなる板から、現物合せで材に採寸し、切断します。
 額の角を隙間のない綺麗な角に仕上げるには、正確に45度に切断する必要があります。
 とは言え素人が鋸で切断するには、余程いい治具を作ってかついい腕でないと
 綺麗に45度にはカットできません。
 私もいろいろやってみましたが、結局スライド丸鋸を購入しました。
 私のスライド丸鋸はホビーユースの安価なものですが、
 それでも額作りには十分な精度で切ることができます。

6.ペーパー掛け
バージョンアップ_f0053342_21365866.jpg

 この段階で、切断面等を綺麗にするため、#100-#150のサンドペーパーを掛けます。
 これで一応、額の外側の材ができあがりです。

7.接着
バージョンアップ_f0053342_21373199.jpg

 切断した材を、木工ボンドで接着します。
 圧着するために、写真のようなバンドを使っています。
 このバンドで締め上げて圧着すると、綺麗に四隅が直角に接着できます。

8.角の補強
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バージョンアップ_f0053342_21394100.jpgバージョンアップ_f0053342_21392286.jpgバージョンアップ_f0053342_1182723.jpg

 四隅には薄い板(ビスケット)を各角に2枚づつ埋め込んで、補強します。
 このビスケットは見た目のアクセントにもなりますので、薄い色の塗装をする場合には
 あえて、額の材とは違う色の板を使ったりします。

 溝切りの加工には、いろいろな方法があるようなのですが、 私の場合は、
 ルータと自作の治具で溝を切り、そこにボンドを付けたビスケットを差し込みます。

 ボンドが乾いた後、ビスケットのはみ出た所を鋸で切り落とし、ペーパー掛けをします。

9.アクリルのカット

 額の全面に入れるアクリルをカットします。
 サイズは作品のバックボードと同じとなります。
 アクリルのカットは、専用のカッターを使えば簡単にできます。

10.桟の作成
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 くり抜いてできた材で、内側にセットする桟を作ります。
 桟の幅は、額の深さからアクリルとバックボードの厚みを、差し引いた寸法となります。
 桟の両端も45度に加工する必要がありますが、こちらはそれほどの精度は
 必要ありませんので、鋸もしくはバンドソーで切断しています。

11.塗装

 額の色は、福永さんの希望される色で仕上げます。
 塗装は、木の風合いが残せるように、オスモオイルかワトコオイルを使って仕上げます。

13.金具の取り付け・完成

 額に作品を止める金具と、壁に吊すための紐を取り付け完成です。
by seiyoukebari | 2009-07-18 11:13 | ハンドクラフト
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釣り人の手から逃れたイワナのつぶやき

by 西洋毛鉤
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