福永さんのフィッシュクラフトは、出来上がる作品毎にそのクオリティが上がっているのが、
素人目にもわかります。
フックした魚の生命感をロッドを通して感じるように、渓魚のもつ雰囲気が、
視界をとおして伝わってきます。
半立体のクラフトで渓魚を表現されるので、“奥行き具合”もポイントの様に思います。
あまり奥行きのあるものにすると立体になり、はたまた奥行きがないと、
単なるレリーフになってしまったり。
そんな事を、福永さんが考えているかどうかは定かではありませんが
作品の厚みが以前より増しているのは事実で、作品を収める額も
以前より厚いものが必要となって来ました。
そこで今回、私が作らして貰う額も、バージョンアップをして奥行きのある作品に対応しました。
奥行き(厚み)のある作品を納める額というのは、一般的にはあまりニーズがなりらしく、
ネットでその作り方を検索しても、ほとんど紹介されていません。
以下は、自分の額の作り方です。
次回作る時のメモとして記しました。
1.材料
材料はSPF材を使っています。
安価で加工がしやすく、木目や節もフィッシュクラフトにけっこ似合うと思っています。
以前は、1×2材で作っていましたが、これでは厚さが足りず、
バージョンアップ版では1×3材を使います。
2.飾り縁の加工
ルーターで額の全面・内側にくる角に飾り加工をします。
最初にこの加工をやっておくことで、作業効率が上がります。
ルーターは高速でビットを回転させて材を削り取る機械ですので、
怪我をしないよう細心の注意を払っての作業となります。
3.切り出し
1×3材をそのまま使うと、今度は額が厚くなりすぎますので、
これを適当な幅に丸鋸で切り出します。
大きなテーブルソーかワークベンチが欲しいところですが、
私の場合、そのような道具がないので、丸鋸台にガイドをセットして行います。
4.内側のくり貫き
厚みのある作品の額には、全面から見ると、
飾り縁(外枠)、ガラス(アクリル)、作品(のクリアランス)、作品のバックボードが収まります。
そのスペースを確保するために、材の内側をくり貫きます。
先ず、深さのサイズに従って、丸鋸で切り込みを入れます。
次ぎに、アクリル・バックボード゙を収める幅のサイズに従って、丸鋸で切り込みを入れ
内側をくり貫きます。
くり抜かれた材は、アクリルとバックボードの間を埋める、桟(さん)の材として使います。
5.裁断
作品のバックボードとなる板から、現物合せで材に採寸し、切断します。
額の角を隙間のない綺麗な角に仕上げるには、正確に45度に切断する必要があります。
とは言え素人が鋸で切断するには、余程いい治具を作ってかついい腕でないと
綺麗に45度にはカットできません。
私もいろいろやってみましたが、結局スライド丸鋸を購入しました。
私のスライド丸鋸はホビーユースの安価なものですが、
それでも額作りには十分な精度で切ることができます。
6.ペーパー掛け
この段階で、切断面等を綺麗にするため、#100-#150のサンドペーパーを掛けます。
これで一応、額の外側の材ができあがりです。
7.接着
切断した材を、木工ボンドで接着します。
圧着するために、写真のようなバンドを使っています。
このバンドで締め上げて圧着すると、綺麗に四隅が直角に接着できます。
8.角の補強
四隅には薄い板(ビスケット)を各角に2枚づつ埋め込んで、補強します。
このビスケットは見た目のアクセントにもなりますので、薄い色の塗装をする場合には
あえて、額の材とは違う色の板を使ったりします。
溝切りの加工には、いろいろな方法があるようなのですが、 私の場合は、
ルータと自作の治具で溝を切り、そこにボンドを付けたビスケットを差し込みます。
ボンドが乾いた後、ビスケットのはみ出た所を鋸で切り落とし、ペーパー掛けをします。
9.アクリルのカット
額の全面に入れるアクリルをカットします。
サイズは作品のバックボードと同じとなります。
アクリルのカットは、専用のカッターを使えば簡単にできます。
10.桟の作成
くり抜いてできた材で、内側にセットする桟を作ります。
桟の幅は、額の深さからアクリルとバックボードの厚みを、差し引いた寸法となります。
桟の両端も45度に加工する必要がありますが、こちらはそれほどの精度は
必要ありませんので、鋸もしくはバンドソーで切断しています。
11.塗装
額の色は、福永さんの希望される色で仕上げます。
塗装は、木の風合いが残せるように、オスモオイルかワトコオイルを使って仕上げます。
13.金具の取り付け・完成
額に作品を止める金具と、壁に吊すための紐を取り付け完成です。