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渓相
私は渓相重視派です。
釣果と渓相のどちらを取るかと言われたら
当然釣果です。

それでも、私は渓相重視派なんです。

魚釣りをしているのですから、釣れないとつまらないのは当然ですが
渓相が悪いと釣る気にもなりません。
ゴミの落ちた3面護岸の川でも、釣れるんなら竿を振ります。

それでいて、私は渓相重視派です。

そんな私が大好きな渓があります。
残念なことに、ここは入渓点・脱渓点が限られ、
釣りができる区間が短いのが難点。

いろんな地図でその川の辺りをみていると、
ある地図にいつもの入渓点の下流に
橋の地図記号が書いてあるのを見つけました。
橋までの林道も当然記載されています。

橋があると言うことは、吊り橋でないかぎり
入渓できるんじゃないかと思い、
最近はその川で釣りをしたあとに、
ほとんど役に立たないハンディGPSを片手に
橋探しをしていました。

先日の釣行でも福永さんと二人で、
橋に通じているらしき林道を歩いて、
入渓ポイントの探索をしました。

しかしその林道は途中で崩壊しており、
その先は、道無き道を沢の音を頼りに降りて行く
はめになってしまいました。

何度も二人で
  ”引っ返す?” 
  ”もうちょっと行く?” 
といった会話を繰り返しながら進んで行きます。

降りると言うより落ちるといった感覚の所も多々あり、
次第に引っ返すという選択肢はなくなっていきます。
目的の谿にたどり着いたところで、
巻く事のできない滝か堰堤にでもでくわし、遡行できなくなったら・・・・
“事故”にあう要素が、次から次へと脳裏をよぎります。

それでも、すこしづつ確実に、沢の音が大きくなり、
最後の急斜面を滑り落ちるとそこには、
息をのむほどの美渓が流れていました。
渓相_f0053342_1914066.jpg

人の手がまったく入っていない、原始の森。
天に伸びる大きな幹と、渓を覆ううっそうとした枝葉。
朽ちた倒木や岸際の岩は、緑の苔におおわれ
その間を、黒い流れが流々と。
おそらく、今ままで釣りをした谿の中で、一番の渓相です。

“ここでヤマトを釣らないで、どこで釣る”
と言うような落ち込みが連続した美しい流れ。

その流れのお陰で“事故”という言葉は、次第に脳裏から流れ出し
無数にあるポイントに、Flyを夢中で投じて行きます。

そこそこの距離を釣り上がってきて、
ふと前方を見ると、渓流に架かった橋が見えてきました。
私たちは、途中で道に迷い、
目的としていた橋のさらに下流に、入っていたようです。

本当はこの橋から入り、いつもの入渓点まで釣り上がるのが
今日の予定だったのですが、ここは次回の釣行に備え、
林道からこの橋までの、アクセスルートを確認する事にし、
この橋で脱渓する事にしました。

ちょっと危険な思いをしたお陰で、
渓相重視派にしか教えたくない、教えられない、
美渓をまた一つ見つける事ができました。

なぜ、教えられないかって?
それはその・・・・
釣れないからです。

これだけ危険な思いをして、1回出ただけ。
でも良いんです。

私は渓相重視派ですから。
by seiyoukebari | 2008-09-07 19:17 | いろはにほへと
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釣り人の手から逃れたイワナのつぶやき

by 西洋毛鉤
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